“今の中村嶺亜”にしか作れない個展をぜひ観に来てください

幼少期、絵の楽しさに目覚め、いつしか「個展開催」というのが
中村嶺亜のなかで一つの大きな目標となっていた。
そんな嶺亜の生い立ちから本展『ReBELiUM』の見どころまで
余すことなく語りつくすロングインタビュー。


自身初の「個展開催」が決まって

 まず素直に「うれしい」って気持ちが大きかったです。いつか個展をやりたいと思って、漠然ではありながらも高い熱量で描きためていた絵たちに“生命が注がれる瞬間”…じゃないけど、やっと動き出す、ちゃんと生きる瞬間がくるっていううれしさがありました。

 自分の目標を叶えられることが決まった瞬間っていうのをファンの皆さんと共有したいなと思い、自分の口から伝えたいとお願いしました。もちろん僕らはアイドルとして輝き、スターになるのが第一目標。ジュニアのうちは、そのスタートダッシュを切るデビューというのが一つの大きな目標ですが、自分のアイドル人生において、もう一つの大きな目標が個展開催でした。大きな発表というのは、やっぱり一緒に歩んできているファンの皆さんにリアルタイムで、全員というのは叶わないけど…なるべく生で届けたいという思いがあって。実際にライブのMC(『KEY TO LIT Arena Tour 2025 WAKE UP THE FOOL』千葉公演)で発表をしたら、皆さんすごく喜んでくださって。ライブの発表をしたことはあっても、個展の発表はしたことがないから、どうなるか分からなかったけど、喜んでもらえてすごくうれしかったし、安心もしました。

漠然とした夢が、「個展を開催したい」という大きな目標へ

 個展を開催したいというのは「プレバト!!」に出始めたくらいのときから、いつかやれたらいいなぁとは思っていて。それが明確になったのは千賀(健永)くんの第1回目の開催『FINGAiSM』(2023年)へ行ったとき。すっごく楽しくて、「いつか個展がやれたら」と漠然としていたものが、「自分もできるようになりたい!」と強く思うようになりました。観に行った日、帰ってすぐ絵を描き始めたのですが、それが今のもととなっていく“和”の絵とか、スケボーに描き始めたりしたもので。間違いなく、自分にとって大きなターニングポイントというか、より一段とギアが入ったポイントでした。

 (松島)聡ちゃんの個展『コ。展』(2023年)にも行って、すごく素敵で。僕の作品とは真逆な、そぎ落とされた中に見える奥深さみたいな。作品自体が持っているテーマの強さや、キャプションを読むのがすごく楽しいアートだった。自分とは全然違うベクトルのものだったから、そこがすごく新鮮で、そのときまた「個展を開催したい」という思いが強くなったし、アートっていうのは人の心を動かすんだなっていうのをより感じました。

周りの人たちのおかげで、絵を好きになった

 幼少期にすごく楽しんで絵を描けていたのが大きかったと思っています。父親の影響でスケボーやスノボをやっていて、冬はゲレンデのホテルで過ごすことが多くて。「今日は雪が強いから滑りたくないな~」ってときは、ホテルに残って絵を描くのが好きだったんです。自分の部屋でっていうよりは、ホテルの中で“放し飼い”みたいな(笑)。自分のことを生まれた時から知ってくれているような環境だったので、従業員の方もお客さんもみんな仲良くしてくれて、たぶん絶対上手じゃない絵でも周りが褒めてくれたのがうれしくて描いていたなって。「上手だね」って言われた記憶はあるけど、当時の作品を見たらそんなに上手じゃないから(笑)。幼少期の頃にかけてもらう言葉って大きいですよね。そういった実体験を経て、より言葉っていうのを大切にしようって気が付いたり、今でもこんなに熱中できているのは、そのときの環境や、両親、周りの人たちのおかげだなと思いました。

 あと、全部ではないけれど、保育園の頃とかに描いていた絵を親がとっていてくれて。まあ、見るに堪えないけど(笑)、逆に今では描けない感性だからすごい。子供の頃ってめちゃくちゃ想像力があったから、自分が描いたよく分からない絵も、今でもすごくリアルに映るんです。そういう作品を残してくれていたおかげで、「周りが温かい雰囲気だった」というのに気付けるし、やっぱり絵って、その瞬間にしか描けないものが残るからいいよなぁって、今も絵を描いていて思います。

個展『ReBELiUM』(リベリウム)に込めた想い

 『ReBELiUM』という造語に込めた想いとしては…、俺の実在しない世界のなかで、実在しない金属の名前がスラングになって、それがアートとしてアウトプットされた時に、現実世界に生きるスラングになったら面白いなって。“絵で描く”というアートではなく、意義としてのアートになるといいなと。『ReBELiUM』は、自身だけでなく周りも巻き込んで鼓舞できるような、「かますぞ!」みたいな、前向きな強い意志のある言葉だと考えていて。少なくとも、個展を観に来てくれた方の中の一つとして残ったらいいなというのが、タイトルにした理由でもあります。

 キービジュアルは過去の力作でもいいなと最初は思っていたのですが、いろいろ考えてイメージしたときにピタッとはまらなくて。自分の性格的に、過去作だとキービジュアルにするつもりで描いていないから、思いが合致しないんだなと。「キービジュアルにするんだ」って気概で描いたほうがしっくりくるなと思って「新規で描きます」とお話させてもらいました。そのほうが、今しか描けない絵が描けるだろうなというのもあり。自分のなかで正々堂々感がほしいなっていうのがあったり、シンメトリーが好きなのもあってか、ド正面の絵になりました。

個展のすべてを皆さんに楽しんでいただけるように

 今回の個展は、皆さんを僕の“想創禁足域”に招待し、侵入してもらうというのをテーマにしています。そぎ落とされた美しさの中に絵があるっていうのも素敵だし、それで勝負するってめちゃくちゃかっこいいなと思うのですが、自分はステージで生きてきた人間だからか、やっぱりなんかエンタメをのせたくなっちゃう。絵柄もすごく明るいからこそ、もう一段階、惹き込ませる何かをしたい…とか。自分が観てきた個展や展示で、どんなものが楽しかったか、印象に残っているか、好きだったものの共通点を探しながら、今回の規模感のなかでやれるだけのことをやる…っていうのが、ある意味アートだなと。それを安パイでやるのではなく、トライしながら、自分が本当に理想なものを可能な限り追い求めて、それを皆さんにお届けするっていうのが、今回の個展の中で自分のエンターテイナーな部分だとも思っています。観に来ていただいて、「こんなふうに思ったのかな」とか「こういうものが好きなのかな」とか想像しながら見ていただけたら、描き手としてこれ以上うれしいことはないです。

 自分の描く作品だけが自分の個展においてアートじゃないなって思うから、空間とかグッズとか、スタッフの皆さんの力を借りながら、個展開催そのものを一つの作品にしたいなという思いでいろんなことに携わらせてもらっています。ゼロだった空間デザインの知識も上がって、それが学びとしてすごく楽しくて。グッズも、これまで以上に関わらせてもらっている分、解像度や鮮明さが出てきた。時間がないな…って大変だけど、感情的には楽しさしかないし、ここまで携わらせてもらっている、こだわらせてもらっているというのがありがたいです。そのすべてを皆さんに楽しんでもらえたらうれしいですね。

応援して下さる皆さんへ

 個展の開催が目標だったとお話させていただきましたが、「個展の開催」という言葉の先には「個展の成功」というのがあるので。まずは成功すること。成功して初めて僕は今回の目標を掴んだことになると考えています。そのために、アーティスト、エンターテイナーとして、今の自分ができる以上のことをやろうと心掛けながら楽しい空間を作っているところです。これが1年早くても、遅くても違うものになる。同じ作品だったとしても、“今の中村嶺亜”にしか作れない個展になると思います。普段の活動もですが、アートも原動力は応援してくださる皆さんなので。そんな皆さんに、第一歩目、僕のepisode0をぜひ観に来ていただきたいです。